消費税軽減税率のポイント
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はじめに 平成28年度税制改正の目玉で、最後までもつれにもつれた消費税の軽減税率が、どうにか連立与党の自公において合意を得て導入が決まり、今年の3月29日に法案が国会で可決・成立しました。消費税の軽減税率導入については、専門家の間では反対が大勢を占め、特に経済学者の間では、他の論点であれば賛否が激しく対立するのが通例ですが、この問題は珍しく反対でほぼ意見がまとまるといわれる珍しい領域であるにも関わらず、政治の場では別の結論となりました。税制は専門的かつ理論的な領域であると同時に、国民に負担を強いるものであるため政治的な駆け引きにより理論どおりにはならないのが常ですが、消費税の軽減税率はまさにその典型であるといえるでしょう。 専門家も税理士会も小売業者の団体も財務省も自民党さえも反対だった消費税の軽減税率が導入されたことに、落胆と失望感をもって受け止めた方も多いでしょう。議員定数の削減等、政治家自らの身を切る改革の歩みが遅いという現状に憤る国民の声も大きく、それが土壇場の軽減税率適用範囲拡大への不信感にもつながっています。筆者もその一人で、軽減税率の問題点については本書の随所において触れることとなりますが、一方で、決まったものについてはそれをただ遠くから批判するだけでなく、きちんと対応するのが税理士を含む実務家の使命です。その使命を全うするのにまず必要なことは、決まった法律や制度を正確に理解することです。 これまでの軽減税率の議論を聞いてみると、制度の基本的な理解が不足しているのではないかと思われるケースが少なからずあったように感じられます。消費税法は所得税法や法人税法と比較すると、条文数も少なくシンプルな税法であるといわれることが多いですが、今年に入ってからの軽減税率の議論からは、むしろ、わが国の消費税法の基本構造や、欧州の付

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