消費税軽減税率のポイント
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110現場では大混乱が起こることすら想定されるところです(免税事業者の課税事業者への転換に伴う滞納問題については、Q3–17参照)。 元はといえば、消費税導入時に、仕入税額控除の要件としてインボイス制度を採用せずに帳簿方式にしたのが悪いといえば悪いのですが、当時の政治状況や事業者の経理実務等を考慮すれば、仕方がない事態であったと考えざるを得ないところでしょうか。 とはいえ、事業者の混乱といった事態が現実に想定されることから、適格請求書等保存方式導入後6年間については、免税事業者からの課税仕入についても一定金額が仕入税額控除の対象となる経過措置がとられています。その内容は、以下のとおりです。平成33年4月1日~平成36年3月31日までの期間における免税事業者からの課税仕入免税事業者からの課税仕入に係る支払対価の額に係る消費税相当額の80%平成36年4月1日~平成39年3月31日までの期間における免税事業者からの課税仕入免税事業者からの課税仕入に係る支払対価の額に係る消費税相当額の50% 私見では、経過措置としてはやや「大盤振る舞い」の感が拭えませんが、政府・与党の「インボイス制度定着のためにはなりふり構わぬ」といった思惑によるところであると理解するより他ないでしょう。90欧州の付加価値税制では、課税事業者/免税事業者の区分を一般に登録の有無(registered or unregistered)によって分類し、付加価値税事業者登録を行った事業者のみがインボイスを発行できることとしている。適格請求書等保存方式導入後のわが国の消費税法では、適格請求書発行事業者の登録がそれに該当するものと考えられる。

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