仮装経理の実務対応
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第5章●仮装経理に関連した税務上の問題点 …… 91 7 粉飾決算(仮装経理)と申告調整会計上の企業利益から法人税法上の課税標準額を算出する際の調整手段は税務調整と呼ばれるが、この税務調整には①「決算調整」と②「申告調整」の2つに区分される。① 決算調整:確定した決算で損金経理等の処理を行うこと② 申告調整: 法人税申告書上(具体的には別表4)で企業利益に加算・減算すること「決算調整」によらなければならない項目に、例えば貸倒引当金や減価償却費の計上があり、法人が決算に織り込むかどうかは任意であるが、法人税法の適用を受けるためには、法人の確定した決算で損金経理等の処理をする必要があり、確定申告書の上で調整することは認められない。一方、「申告調整」項目には、「任意の申告調整項目」と「必須の申告調整項目」があり、前者は法人が自ら確定申告書で調整を行う項目で、後者は法人が申告調整をしたか否かに関係なく、税務上当然に益金や損金の不算入計算を行い、企業利益を修正する項目である。法人税の課税標準額とされるべき所得の金額は、以上のような調整を経て算出されることから、例えば仮装経理として架空売上を確定した決算で計上した場合や、計上すべき費用を意図的に計上しなかった場合には、申告調整により(損金として)減算できる(すべき)ことになる。この場合、架空売上の計上や費用の繰延べが「任意の申告調整項目」に該当するか「必須の申告調整項目」該当するかを検討する特段の利益はないと思料するが、確定した決算に反映してはならない架空売上や反映すべき費用の調整であるから、「必須の申告調整項目」に該当することになろう。
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