仮装経理の実務対応
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第2章●仮装経理の重要項目 …… 51 18 仮装経理事業年度における修正申告書提出後に減額更正がされる場合当初の実地調査の際、納税者は仮装経理の事実を明らかにすべきではあるが、何らかの事情によりこれを明らかにせず、また、この調査でも仮装経理が把握されず、所得を増加させる問題点だけが指摘され、これにより納税者が修正申告をし、過少申告加算税が賦課される場合もあり得る。このような仮装経理事業年度において、納税者が後続事業年度において、修正経理等を行い、減額更正の要件を満たした場合、どのような処理がされことになるのであろうか。この場合、仮装経理の減額更正に伴う法人税法第70条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)や法人税法第135条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)の適用は、あくまでも当初の確定申告書により納付した仮装経理法人税額が対象となる。つまり、法人税法第135条第1項では「内国法人の提出した確定申告書又は連結確定申告書に記載された各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額が……」とされているからである。したがって、修正申告により納付した法人税額や過少申告加算税は減額更正処分により、仮装経理規定の対象とはならず直ちに還付されることになる。設 例① 確定申告による納付税額 200(法人税額から控除される所得税額はない)②  修正申告による納付税額 100(法人が納付した合計納付法人税額 300)③ 修正申告に係る過少申告加算税 10(=100×10%)④ 減額更正後の納付税額 0⑤  減額更正の日の属する事業年度開始の日前1年以内に開始する事業年度の確定法人税額30

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