87第 3 章新会計基準に対応する改正基本通達第1節改正基本通達の読み方 改正基本通達は新会計基準の適用に対応できるように新設された項目や一部改正された項目が含まれている。基本通達の条文に「平成30年3月30日付企業会計基準第29号『収益認識に関する会計基準』(以下、収益認識基準という)の適用対象となる取引に限る」という文言が現れる。 収益認識基準に合わせ、基本通達に要件が示され、それらの要件を満たしているときは、新会計基準による会計処理をした場合は、法人税法もその処理を認めるという趣旨である。通達の表現としては「~できる」としているが、これは従来の処理と改正後の処理を任意に選択できるという意味ではない。 一般に公正妥当な会計処理が行われた場合、法人税法の所得計算もこれを認める。これにより、新会計基準を適用する会社は、一部(返品や貸し倒れを取引価格に反映させない)を除き、法人税法上も会計と処理が一致し、原則として申告調整は必要なくなるということである。仮に、申告調整すれば恣意的な課税の操作となってしまう。 例えば、基本通達2-1-1(収益計上の単位)においては、「収益の額は、原則として個々の契約ごとに計上する。ただし、次に掲げる場合に該当する場合には、それぞれ次に定めるところにより区分した単位ごとにその収益の額を計上することができる。」としている。 「次に掲げる場合」、「それぞれ次に定めるところにより区分した単位」とは、新会計基準の収益認識単位すなわち履行義務を意味している。新会
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