65第 2 章収益認識に関する法人税法の改正 新会計基準の収益の認識時期は「履行義務の充足」であり、収益の認識額は取引価格であるが、それには「変動対価」が含まれている。 改正基本通達においても、履行義務の充足と変動対価の概念が導入されている。履行義務の充足により収益を認識するという考え方は、法人税法上の実現主義又は権利確定主義の考え方と矛盾するものではない。そのため、改正基本通達には「履行義務」という新たな概念が盛り込まれた。** 新会計基準は、顧客との取引が完了し確定金額で財務諸表に計上することを目指していない。刻々と移り変わる企業の取引過程を描写するために、多くの見積り要素に溢れた会計基準である。 一方、税法は公平な所得計算を目的としている。過度に保守的な取扱いや、恣意的な見積りが行われる危険性を避けるため、税法独自の取扱いを定めている。新会計基準に沿いながらも、税の原則である公平性、明瞭性、便宜性を保持するための措置が講じられている。(基本通達の構成)会計基準と基本通達が一致する部分独自の税法のルール なお、中小企業については引き続き従前の企業会計原則等に則った会計処理も認められることから、従前の取扱いによることも認められる。2基本通達の主要改正項目① 収益の計上の単位の通則 資産の販売等に係る収益の額は、原則として個々の契約ごとに計上するのであるが、契約に含まれる履行義務ごとに収益を計上することができる。 ② 資産の販売等に伴い保証を行った場合の収益の計上の単位基通2-1-1:改正基通2-1-1の3:新設
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