QA法人税〔微妙・複雑・難解〕事例の税務処理判断
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▶Q59~Q9814963建物取得後に発生した補償費用当社が、郊外に研究所と工場を兼ね備えたビルを建設しました。その後、その建物の西側の住民からテレビが見えないという苦情が持ち込まれました。調査の結果、当社の建物が原因であることが判明したことから、住民と協議の上協定を結び、当社のビルの屋上に共聴アンテナを立て、近隣住民に配線して難視聴を解消することにしました。このアンテナ建設費と配線工事代として300万円かかりました。屋上にあるアンテナと配線網は固定資産として計上しなければなりませんか。貴社のビル屋上にあるアンテナですが、立てる基因となったものは、貴社の建物により、近隣の住民のテレビの難視聴が生じたことにあります。これらの住民に与えた損害を補償するものであって、その支出により、法人が積極的に何らかの便益を受けるものとはなっていませんので、貴社の固定資産にもならないものと認められます。また、建物の取得後による支出であって、建物の取得価額を構成するものとも認められません。 よって、法人税法第22条第3項第三号に当たる一種の損害賠償金としての支出として、一時の費用処理になるものと考えられます。 固定資産取得後に発生した損害賠償的な支出は、固定資産の取得価額にはなりません。

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