〈入門〉建設業会計の基礎知識
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は、工事の完成・引渡しの際に前受金・部分払金などの「未成工事受入金」(④で詳しく解説します)と相殺した後の請求残額を借方(左側)に記入します。代金が回収できれば、減少額を貸方(右側)に記入します。このように、完成工事未収入金は、未成工事受入金とともに得意先との間で発生した債権・債務の増減を処理する勘定ですが、得意先が多い時は、未成工事受入金と完成工事未収入金という2つの勘定に記帳するだけでは得意先別に今いくらの前受分があり、未収分がいくら残っているかを知ることができません。そこで、得意先元帳と呼ばれる補助元帳を別に作成し、得意先別の勘定口座を設定して処理する方法が広く用いられています。以下が、得意先元帳の例(仕訳帳から転記しています)です。〔設例〕次の一連の取引の仕訳および勘定記入の結果を示しなさい。⑴東京商店と事務所の建築工事7,000,000円についての請負契約が成立し、前受金として同店振出の小切手1,200,000円を受け取った。⑵東京商店より部分払金として現金800,000円を受け取った。⑶上記の事務所が完成し、その引渡が完了したので、前受金等と相殺のうえ、その残金5,000,000円を請求した。⑷その後、塗装工事の一部に設計仕様と相違する箇所のあることがわかり、値引40,000円を行った。⑸東京商店から、工事代金の未収分4,960,000円を同店振出の小切手で受け取り、直ちに当座預金に預け入れた。〈解答〉⑴(借)現金1,200,000(貸)未成工事受入金1,200,000⑵(借)現金800,000(貸)未成工事受入金800,000⑶(借)未成工事受入金2,000,000(貸)完成工事高7,000,000完成工事未収入金5,000,000⑷(借)完成工事高40,000(貸)完成工事未収入金40,000⑸(借)当座預金4,960,000(貸)完成工事未収入金4,960,000Ⅱ建設業特有の勘定科目とは65

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