〈入門〉建設業会計の基礎知識
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少しマクロ的で難しそうな話から始まりましたが、本書の「建設業会計」を学び始めることにとって、大切な認識とご理解ください。この後は、会計情報を理解し活用するための、基礎知識を解説します。やさしい表現ですから、気楽に読み始めてください。2.企業の財政状態と経営成績⑴企業活動の意義そもそも「企業」は、何のために社会に存在するのでしょうか?大変難しい話ですが、近年の経営学研究では、まず第一に「社会貢献」を挙げるべきでしょう。社会は個人の集合体として形成されますが、これは共同社会といって社会の一員として共同的にコミュニティ等を構築して、個々の価値観や生き方等を尊重する社会です。しかし、共同社会においては、個々人の活動を支える経済活動が不可欠です。共同社会に対して経済社会と呼ばれています。経済社会は、一般的には「企業」という擬制的な存在を許容します。個々人の集団としての企業では、統一的な目的のために向かう効果的で効率的な行動が求められます。目的を達成するための組織は、私企業か公企業かにかかわらず、いずれも、社会において何らかの貢献をする組織であれば、意識的か無意識的かにかかわらず、その存在が容認されていきます。したがって、企業活動の意義は、まずは社会貢献の存在にあると考えるべきでしょう。ただし公企業は、私企業とは異なった貢献目的を有していますので、ここでは、営利の追求を許容される私企業であって、法人組織としての株式会社を意識して、今後の話をつづけていくことにします。企業(私企業)は、営利を目的として企業目的に向かって統一的に経済行動を行う経済単位といえましょう。したがって、一般的な企業活動の意義には、必ず「営利目的」が挙げられます。営利とは「もうけを得る」ことと理解します。次に、企業はどのように誕生するのでしょうか?第1部企業経営で求められる“質”の高い会計情報とは4

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