〈入門〉建設業会計の基礎知識
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VFMの本格的な実践のためには、そのプロジェクトとビジネスに関わるすべてに対して、的確な会計情報システムを構築しなければなりません。会計がそれらの意思決定や評価の基盤システムとして活きていない限り、VFMの理念はスローガンだけに終わってしまいます。投資が、会計情報的水準に照らして効果性、経済性の観点から相当の説得力を有しているか、投資によって創生されるビジネスが、ヤードスティックである他のビジネスに比べて、十分に効率性を維持できるか、このような判定のためのコア情報が、会計情報システムから導き出されるものです。思えば、20世紀経済の大半は、2つの世界大戦を契機としながら、世界的な拡張投資型市場の顕著な様相を特徴としたものでした。拡張のきっかけは破壊的な戦乱であることもあったし、再編・再生のための一時的な統制や規制を因とするものもありました。しかし、基調としては、各種の市場が不飽和の状態であるという環境を享受できたので、おおむね、右肩上がりの経済実態を目の当たりにすることができたのでしょう。1980年代は、日本の高度成長が世界の象徴でしたが、そのとき欧米は、必死の体制建て直し期にありました。逆に、1990年代は、わが国のバブル崩壊と取り代わるようにして、米国経済におけるITをフル稼動させた高揚期が象徴的でした。この時代、競争戦略の形成に成功する企業もしくは業界は、環境の変化に迅速に対応して、価値連鎖の分析とそれを基礎とした経営の再構築(re-engineering)に的確に反応するものであるとされました。20世紀経済を市場不飽和の状況として特徴づけましたが、21世紀の経営では、市場飽和からの革新的な変身と機構・仕組みの再構築に対して、必要な新しい経営理念とその具体化が不可欠ではないでしょうか。建設業も、まさにこのような改革等を取り込んでこそ、日本経済のリーディング産業としての役割を高めていくのではないでしょうか。会計情報を十二分に活用する典型的産業に成長することを期待しています。3

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