改訂増補 予算会計
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能に近くなります。B事業の営業マンは、業績達成により賞与査定が決まるとしたら、「何としても目標売上高を達成しなければ」という強いプレッシャーがかかります。その結果、与信上の危ない先に販売したり、「経理操作をしてでも目標売上高を達成したい」という衝動にかられる危険性は常にあると考えられます。2015年9月5日、衝撃的なニュースが流れました。東芝が「キャッシュ・フロー予算に基づく業績評価制度」の導入を決定したというニュースです。東芝、業績連動報酬を刷新不適切会計の再発防止東芝は毎期の業績に応じて執行役らの報酬を決めている評価制度を大幅に見直す。年間利益の目標に対する達成度だけでなく、どれだけキャッシュフロー(現金)を稼いだかを中心的な項目に据える。ごまかしが利きにくい現金収支で管理するやり方に切り替え、不適切会計の再発防止につなげる。不適切会計を調べた第三者委員会(中略)は、従来の業績評価制度が背景にあると指摘した。期間損益に大きく左右される制度が、実現が難しい予算作成や予算必達を意味する「チャレンジ」の横行につながった可能性が高い。例えば執行役の報酬は基本報酬と職務報酬で構成。職務報酬の40~45%が業績連動で、その期間の損益によって支給されなかったり、最大で2倍に増えたりと大きく変動する。従来の制度では、自身の業績評価を高く見せるため、期間利益を多く出そうとして工事採算の見積もりや在庫評価などで操作が行われがちだった。これに対し、キャッシュフローに基づく管理はごまかしが利きにくい。東芝は15年3月期から業績評価・報酬制度の見直しを内々に検討していた。不適切会計問題を受けて設置した経営刷新委員会で議論し、正式に導入を決めた。…(2015年9月5日付日経新聞。下線は筆者による)なぜ、「キャッシュ・フロー予算」が経理操作の防止に役立つのでしょうか?従前の「損益予算」の場合、売上高や部門利益が予算未達で、経理操作によって利益を出そうとすれば、売上高40を架空計上して部門利益を40増額させることができます(例1)。一方、「キャッシュ・フロー予算」の場合、同様の経理操作をしても、期末の売掛金が40増えるので、売上債権の増減額((期末売掛金-期首売掛金)×△1)が△40増えて△90になり、部門別営業キャッシュ・フローの実績は変わりません(例2)。経理操作をしても意味がないのです。(3)

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