建設業の経理 №74
9/16

問当社は,建設工事業を営む法人ですが,最近,海外からの研修生や外国籍の従業員を積極的に採用するようになりました。これらの従業員の年末調整を行う際に,従業員から翌年の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出してもらっていますが,多くの従業員が国外に居住する親族も控除対象扶養親族として申告しています。ところで,平成28年1月1日以降に支払う給与から国外に居住している親族について扶養控除等の適用を受ける場合には,その条件が改正されたと聞きました。具体的にはどのように改正されたか教えてください。また,特に注意すべき点があれば教えてください。解答従来,居住者が控除対象扶養親族を有する場合,給与の税額計算において扶養控除等を受けるために,その年の最初の給与の支給日の前日までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下,「扶養控除等申告書」といいます)を主たる給与の支払者に提出することになっていました。平成27年度の税制改正で,平成28年1月1日以降に支払う給与に係る源泉徴収や年末調整を行う際に,日本国外に居住する親族(以下,「国外居住親族」といいます)を控除対象扶養親族にする場合は,扶養控除等申告書に記載したうえで,その親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」を添付して給与支払者に提出するか,提示しなければならなくなりました。この国外居住親族には,外国籍の親族のほか,日本国籍の方が長期の留学をしている場合なども該当します。平成28年以降の扶養控除等申告書には,「平成○○年中の所得の見積額」欄に加え「非居住者である親族」欄,「生計を一にする事実」欄及び「個人番号」欄など記載を必要とする項目が追加されたので,記載漏れの無いようにしなければなりません。また,国外居住親族について配偶者特別控除の適用を受ける場合にも同様に,給与所得者の配偶者特別控除申告書に記載したうえで,その親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」を添付して給与支払者に提出するか,提示しなければなりません。なお,平成28年分の確定申告においても同様に,日本国外に居住する親族を控除対象扶養親族にする場合には,その親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告書に添付するか,または確定申告書を提出する際に提示しなければなりません。税務ケーススタディ税務講座⑪国外居住親族の扶養控除(非居住者の家族を控除対象にするには)KI税理士法人代表社員小池正史Spring2016建設業の経理43

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 9

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です