建設業の経理 No77
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経営事項審査制度については,昭和25年9月の制定より約70年の間,公共工事の元請となる建設企業の企業評価制度として活用,義務化されてきたところである。その具体的な評価項目や評価手法は,建設産業を取り巻く情勢の変化に応じて,時代とともに適時の改正が行われ,時には評価方法の抜本的な見直しも検討・実施されながら今日に至っている。我が国における経営事項審査は,公共工事の元請となる建設企業についての全国一律の評価制度であると同時に,ある意味では時代が求める建設企業のあり方や,公共工事の元請となるにあたって最低限必要とされる要件の尺度としての面もあったといえるであろう。昨今,基礎ぐい工事問題に端を発して再開された平成28年中央建設業審議会基本問題小委員会や,10年後を見据えた建設産業のあり方を検討する場として本年10月より新たに設置された建設産業政策会議においても,経営事項審査制度を念頭に置いた企業評価について,様々な有識者意見が展開されている。具体例を挙げれば,中小建設企業の事業承継に際しての環境整備,生産性向上や働き方改革についての企業努力の評価,業界横断的に求められる企業の役割を反映した社会性評価のあり方など,各方面より多岐に渡る意見をいただいているところである。今号では,新しい時代の経営事項審査を考える一つの材料として,これまでの制度における建設企業の「規模」に係る評価を取り上げ,その変遷を大まかに振り返ることとする。建設行政の視点「規模」評価の変遷にみる経営事項審査の特徴―新しい時代の経審を考える―国土交通省土地・建設産業局建設業課Winter2017建設業の経理59
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