建設業の経理 No77
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経営管理に活かす実践!上手な資金繰り[第3回]<経営管理③>内部金融と企業間信用四国大学経営情報学部教授/㈱みどり合同経営取締役藤井一郎【図表1】工事①入出金予定表工事①受注金額:20,000千円〈前受金が8,000千円の場合〉単位:千円1月2月3月4月5月6月累計前月繰越04,4001,8005,2002,800400収入X社8,00006,000006,00020,000支出(変動費)3,6002,6002,6002,4002,4002,40016,000A社2,0001,0001,0004,000B社1,6001,6001,6001,6001,6001,6009,600C社8008008002,400翌月繰越4,4001,8005,2002,8004004,0004,000前回は,お金を作り出す現場(工事一本一本)のキャッシュ・フロー,中でも変動費の支出について正確に予測し,この予測をもとに現場ごとに利益を確実に残していくための管理手法を活用していくことが,資金繰りの把握・改善につながるとお話ししました。このように,工事一本一本で利益を積み重ね,内部留保を厚くしていくことが資金繰りを楽にするポイントであることは間違いありませんが,一方,工事で利益が出ていても運転資金が足りないというケースも多々発生します。そこで,今回は少し視点を変えて,内部金融と企業間信用をテーマに,お話ししていきたいと思います。1工事別入出金一覧表の作成いま,貴社が元請企業X社から工事①を受注したとします。工事①は受注金額20,000千円で,工期は6か月(1~6月),資材業者や協力業者であるA~Cに仕事を依頼し,変動費の支出が16,000千円,付加価値予定は4,000千円(20.0%)の工事です。X社からの入金は,施主からX社への入金条件を考慮し,前受金8,000千円(1月),中間金6,000千円(3月),完成払6,000千円(6月)で契約したとします。これについて,工事別入出金予定表という管理資料を作成し,「収入欄」に入力します。一方の支出は,A~C社それぞれ,何月にいくら発生するか,予測を立てて,それぞれ「支出」の欄に入力します。入力した工事①の入出金予定表は【図表1】の通りです。Winter2017建設業の経理53
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