「建設業の経理」№76
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建設イノベーション探訪07固定観念にとらわれない企業像をめざして岩浪建設株式会社◉所在地:東京都青梅市◉創立:昭和10年(1955年)11月◉従業員:26名◉売上高(平成28年2月期実績):16億1,129万円インタビュアー:大久保彩音都心からオレンジの電車に揺られて1時間。立川を過ぎたあたりから,周囲の光景がぐっと親密になってくる。青梅駅のひとつしかない改札口を出ると,高層ビルが立ち並ぶ新宿とは対照的に,のどかな風景が広がっていた。今回取材する「岩浪建設」は,ここ青梅で100年以上の歴史をもつ地域密着型の企業だ。駅前や,社屋に向かう途中にも,“岩浪”の名を冠したビルや企業を見かける。どうやら地元の名士であるようだ。とはいえ,経営的にはかなり厳しかった時代があるとのこと。そこから立て直した方策について,どんな話が聞けるのかと,楽しみになってきた。社長交代を突破口に創業100年以上の歴史をもつ岩浪建設だが,折からの不況にあおられ,6代目の現社長の就任まで,近年は苦しい経営が続いていた。「ずっと過渡期にはあったのですが,なかなか渡り切れなかった中で,本当にのっぴきならなくなってきたのが,私が社長に就任した平成22年の頃です。営業利益はマイナス4,500万円くらいにはなっていました。」それまでは全く違う業界で営業職として働いていたが,会社のこの苦境を受け,予定よりも早く社長に就任することとなる。当時はアベノミクス以前,不景気を吹き飛ばす突破口としての交代だった。社長は就任前後から,経営コンサルタントや会計士等と一緒になって,様々な再建策を本格的に進めていくが,その効果が出るまでには,少なく見積もっても1年半はかかっているという。しかし,一度業績が上向いてからは四期連続の黒字が続き,その幅も広がってくるなど,驚異の成果をあげている。社長は一体どのような取組みをしたのだろうか。“リニューアル工事”という考え方岩浪建設の事業再生の柱は2つある。まずは“リニューアル”工事に力を入れたこと。岩浪建設では,法人・マンション向けなど,規模を問わず改修工事を「リニューアル工事」と呼び,フランチャイズに加盟して住宅改修を行っている一般的な企業の「リフォーム工事」との差別化を図っている。リニューアル工事の1件当たりの売上は,76建設業の経理Autumn2016

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