建設業の経理№79
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1はじめに近年,各種産業における技術の高度化,インターネット等のITを用いた様々な情報の活用,顧客吸引力の高いブランドや斬新なデザインを用いた戦略的な販売活動など,新しさを求めた企業活動が活発に行われておりますが,こうしたビジネスには多くの知的財産が関わっています。知的財産は,新規な技術としての発明,ブランド力の高い商標,斬新なデザインからなる意匠といった経営戦略に有用な無体財産であり,特許法,商標法等の法律によって保護されます。機械や電気分野の製造業では,流通性のある製品や部品等の「物」に関する特許が多く,特許出願の件数も製造業が大半を占めています。一方,建設業においては,技術の対象が主に現場で施工される建築物や土木構造物等であるため,施工方法等の「工法」に関する特許が主流です。建設分野では,建物等が完成してしまえば同じものが建てられることは少ないため,このような現場一品物に用いられる技術を特許で独占しても意味がないと考えがちです。しかし,建設分野の技術の中でも,他の現場でも適用可能な工法や構造,または市場流通性のある建材,装置,機器,材料等は,建設業界特有の知的財産として権利化する価値は十分にあります。また,昨今急速に発達したIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を用いた技術が建設分野にも応用されており,こうした技術の多様化によっても,知的財産権を取得する余地は広がっています。2知的財産権のメリット特許権等の知的財産権は,その知的財産を自らが独占排他的に実施または使用することができるので,自社の製品や技術に特許があることをアピールすることにより市場優位性を保ち,他社の参入を阻止することができます。また,知的財産権を保有していることにより,例えば製品の売買契約や工事の請負契約,或いは他社とのアライアンスを有利に進めることもできます。知的財産は,その独占をするだけが活用方法ではありません。自社の特許や商標の使用を他社に許諾してライセンス収入を得ることもできます。また,企業の技術者にとっても,自身の研究開発の成果が特許出願という形で会社に評価されれば,発明意欲が高まり,結果的に企業の技術力が向上するという利益が得られます。経営戦略の鍵!建設業のための知財活用事例第1回知的財産権の基礎知識特許業務法人アテンダ国際特許事務所弁理士角田成夫16建設業の経理Summer2017

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